index < 日誌 < n かすむ。< 18-81「カスミとボヤケ」


 
1、見えない。



「かすむ」というのは目と景色との間に何か、例えば霧(きり)とか煙が入って来て風景がよく見えないとか、何かの帳(とばり)やモヤの中で、景色が薄くなって消えてゆくことである。それとか、例えば立ちくらみや目まいのように、遠のいてゆく意識の中で目の中の景色も一緒に消えてゆく、そんな場合である。あるいはまた、暗いトンネルを出た直後、一瞬なにも見えない、こうした場合を「かすむ」と言っいる。

しかし「ぼやける」といった場合には、もっと意識的で意図的な感じがするのである。本人の自分勝手な気まぐれや思い込みでもって、ものを見ているように思えてくるのである。

「かすむ」というのが、キリとか意識の喪失などの本来自分の預かり知らない、自分の外からの物理的な原因によるものとすると、「ぼやける」というのは、自分のの好みや目的に合わせた主観的で意図的なものの見え方のように思えて来るのである。

「ぼやける」というのは本来、目の水晶体(レンズ)と景色との間の焦点距離の違いに原因がある。しかしそれ以外にも「ぼやける」と感じることがある。例えば、人と話をしているときである。そういうときは、相手の「目」以外は、ほとんど見えないというか、見ていないのである。そしてその見えていない部分がボヤケているように感じるのである。


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