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区別とは、区切り線であり、境界線であり、そしてなにかの輪郭線なのである。そしてそれは、それぞれにとっての異界なのであって、自己と他者を区別する目印なのである。 個々の異なる主体が、個々固有の原理や、異質な個性を基に、自己の個性的な自律性と同一性に従って成り立っているのである。それが区別されるという意味である。またそれは、自分が自分であるという証明にもなっている。 それは自分にとってみれば、他人のような現実であり、そしてまた、他人のような自分、つまり、自分で自分を意識する自己意識である。自分は、他者としての現実から分離独立したのである。自己は自分自身にめざめたのである。 自己と他者、そして現実との間に神聖にして侵すべからざる精神の境界線が発見されたのである。現実を透過して自分自身の精神の領域が見えるのである。目には見えないけれども、心のなかで見えるし、感じることもできる。そうした自分自身の、精神のすがたが露わに特定されたのである。精神は、自分自身の神聖不可侵の領域を持つに至ったのである。 |
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