index < 日誌 < 春、 < 「3月の風」p2 |
それは3月の太陽そして湿度や気温とも密接に関係している。また、夏と冬の境い目、そのどちらでもない不安定な季節の変わり目ということも関係している。 いまだ肌ざむいというのは空気のことであって、陽の当たる日向(ひなた)はむしろ暖かく陽気がただよっている。暑いくらいである。そして反対側、日蔭は肌ざむく陰にこもったような状態となる。さむくて、いまだ真冬のような内向的で、なにもかもが止まったような閉じた世界である。つまり、陽気と陰気、暖かさと冷たさ、優しさと険しさ、夏と冬、光とカゲがいまだ共存している世界である。 しかし、そこにはまだ全体として寒いのに、にもかかわらず光に向かって、暖かさと優しさに向かって突き進むという、そうした指向性がある。いわば、先駆者であり挑戦者なのである。あるいは、そうした方向へと向かわざるを得ない状況に置かれている。黙っていても、自分の判断が求めれる、そうした世界である。 暖かくなったといっても、まだ全体としては寒く、生命はまだようすをうかがって閉じている状態なのである。その中で一部の生命、先端に位置する者だけが、止むを得ず、あるいは仕方なく、日に向かって突き進もうとしているのである。 |