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霧とかカスミの中。あるいは夢を見ているときもそうだ。はじめは何もない。よどんだカスミ(霞み)のなかから、影が見える。ぼやけて、ぼんやりした全体像である。そしてそれが何かを確かめるべく、それが象徴する特徴をさがし、それから順にどうでもよいものへと見ていく。視線というのがそのように移動してゆく。それは無意識の感覚のパターンである。 それは、それが何かというのがわからないのである。だから確めようとし、問い続け、見つめ続けようとするのである。そして結局は、なにもハッキリしないまま終わる。しかし、ひとつだけ確かなことがある。それが現実のなんであるかは、どうしてもわからないままなのであるが、それが意味する感情とか情緒といったものは非常によくわかるのである。現実の物としては分からないけれども、精神の心情として非常に良く理解できるのである。 目的も理由もない衝動。行き場のない感情の苦しみや叫び。つまり、現実から切りはなされた、自分自身の孤独な世界を表現していると言える。またそうやってのみ、自分自身というのが見えてくる。感情や情緒の表現されたカタチとして、自分に理解されてくるのである。何かの抑えられない衝動が感情となって、そしてそれがまたイメージとなって夢の中に現れているのである。 |
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