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人間がこの世に生まれ、何を見て、それをどう考え、いかに行動するかということは、それ以前にすでに与えられ用意されている。それ以外の生き方といったものは、現実には存在しないのである。 例えば肉体的制約。 人間は二足歩行である。つまり、地上で生きるように出来ている。水中でも空中でも生きてゆけない。人間のカラダと肉体は左右対称である。 人間が作り出すものもたいてい左右対称である。そのほうが把握しやすいし、理解しやすいし、使いやすく、そして作りやすいのである。人間のカラダと脳ミソがそのように出来ているのである。 人間の身体の感覚器官は、視覚・嗅覚・触覚・味覚・聴覚の、ほぼすべてが正面配置である。背面に向かって設置されてはいない。 どういうことかというと、人間の感じ方や考え方、そして行為や活動、つまり、生き方や存在の仕方といったものが、そうした空間的・時間的方向性を持っていて、それが意識されることはないにしても、何かを指向するところで成り立っているということである。生きていること自体が何かを指向してるのである。 あるいはまた、視覚という感覚器官にしぼってその制約を見てみると、人間の目に感じるのは、赤から青色までである。それ以外の波長の長い紫外線については光としてではなく、熱として感じている。見ているのではなく、熱として触覚で感じているのである。そして反対側、青色よりも波長の短い光については、「電磁波」として人間の感覚では直接感じることのできない領域となっている。熱・光・電波といったものは、本来すべて同一の電磁波なのであって、それらがただたんに、波長の違いによって、人間の感覚では別のものとして、別々の感覚器官でとらえられているのである。 |