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人間本来の個性といったもの。その人だけにしかない、個人の精神の無限の可能性や永遠性などといったものは、何の価値もない、すべてはジャマなもの、よけいなもの、不必要なものとして排除される。したがって、個人のその本人にしかない、その人の証明、確信、意志といったもの、つまり、より本質的にいうと、自分が自分であるということが、自分自身のアイデンティティーといったものが、現実の中に見いだせないのである。 これでは人間というのが、ただのロボットか、誰か他人の「入れ物」か「借り物」に過ぎなくなってしまう。自分自身の実体やタマシイといったものを消失しているのである。蒸発して周りに同化して消失している。 実を結ばない花、個性なき均質の時代。何も生み出さず、なんの変化もない時代。カラ(殻)の中にひきこもって外を見ることのない世界。自分の外にある客観的な現実というのを知らず、存在せず、自分たちだけの思い込みと主観だけが支配する、閉じた世界である。夢と幻、迷信とまやかしの世界である。 |