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夢が夢の中で、夢に対して夢を見ている。外の世界とは何らかかわりを持たない、現実から切断された世界である。自分の中だけで閉じて完結した世界である。そうやって、夢は夢に対して納得し、満足もし、安心し、これからもずっとそうであり続けようとするのである。 それは抽象と類推、たとえと暗示、そして連想と錯覚が生み出す偶然の世界である。現実世界と何らかかわりを持たない、観念だけの世界である。このような情緒の世界が人間を支配していて、また、方向づけてもしている。そうして、様々な個人や民族にとってのその気質や気性、そして生きて行く上でのその「傾向」ともなっている。 こうしたことが、生きている人間が無意識の世界で求め願うものとなっている。そこから出ることも、越えることもなく、越える能力も意志も可能性もない。人間が現実の外で何をしようとも、現実は何も変わらない。だからまたそれが夢であり続けるのである。 従ってまた、これが人間にとってのサダメといったもので、これが人間を支配し、人間の情緒や生理の世界を成していて、その意識や思考の元になっていて、そしてその生き方の奥底の源泉となっているのである。無意識の世界とはこのことなのである。 |