index< 日誌 < am種 < 19-035「観念の世界I続、上か下か」p4- |
もしも、精神が他人とのキズナを求めないならば、自分だけで生きて行けばよく、人間同士の間の上下の関係は不要なのである。しかし、精神が、この他人との関係を求めざるを得ないということ、すなわち、自分の中に自己意識が欠落しているという状態が、それを他人に求めざるを得なくしているのである。 自分をたしかめ、認め、見い出すことができるものが自分の中に無い以上、それを他人の中に求めざるを得なくしているのである。従ってまた、それは上下の関係とならざるを得ないのである。 自分の中にも相手の中にも、自分というのが存在しないのである。それは、もともと自分の中に見い出さなければならないものなのである。そうした、自分にとって何よりも大切なものが、自分の中に無いということなのである。あるいは、それが自覚されていない、もしくは、それを避けているということなのである。 |