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4、境遇。


こうしたことのすべての根底には、やはり、自己意識の欠落が関係している。自律した個人であるという自覚と意識が欠けているのである。あるいは、そうした自立した個人というのが生きて行けない、そうした社会のシステムなのである。

そして、そうしたことのすべてに、自己意識の欠落というのが根底に見られるのである。だれだって、自分で自分を否定したくない。自分が自分に対立するようなことは避けたいのである。自分が自分で無くなるようなことは、したくないのである。自分が自分であることを失いたくないのである。そんな恐ろしいことは、だれもしたがらないのである。

しかし、このような自分に対立する自己意識なしに、本当の自分のすがたは見えてこないのである。自分を離れて、自分を外から見て始めて、本当の自分というのが見えてくるのである。しかし、だれもそんな、忌(い)まわしくわずらわしい、そして恐ろしいことは進んでやらないのである。

そうした状況下に置かれて、追いつめられて、そうするしかないような、そうした立場にいる人間。もしくは、そうした境遇というか、条件の下に生きている人間が、いやいやシブシブ、どうにもならず、どうしようもなく、それしかなく、実に致し方なく、そうして自己意識というのに遭遇するのである。

それが、そういうタイプの人間にとっての行き着く先なのである。まるで、それしかないように追いつめられてゆくのである。


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