index< 日誌 <  ap理由 < 19-46「感覚の中」p7-


4、自律性。


それは、自分自身の中の内的な同一性であり、自分で自分の心の中をのぞき込んで、自分を確かめようとしているのである。例えるならば、カガミ(鏡)の中の自分を通して、現実の自分を探し出そうとしているのである。

こうしたことが、自分にとって何かが意識される以前の、意識から切断され、意識とは別の、感覚だけの、感覚そのものが自己完結した世界を作り出しているのである。感覚が感覚を感じている、感覚が感覚を意識している、そうした世界なのである。

意識の知らないところで、感覚が感覚だけで何かを感じている。そしてまたそれを、感覚だけの、感覚特有の仕方で記録し、保存し、そして伝え、くり返し続けてきたのである。感覚の感じ方の、その生理や神経作用が反復継続される、そうした固有の自律したパターンとして保存され続けてきたのである。

そうしたことが数十数百世代に渡ってくり返され続けたのである。そしてそうしたことが、自分自身の中の身体の記憶として、その情緒や生理の作用の特質として保存されてきたのである。あるいは習慣や馴(な)れ、そして、社会のシステムや文化、生態系内の位置や役割としてもそうなのである。

それは、そうなるべくして出来上がったものなのである。繰り返される時間という歴史が、それを現実のすがたとして作り上げたのである。直接には見えることのない、人間の生き方・存在というのを、自分自身の、現実のすがたカタチのなかに表明してきたのである。


戻る。                 続く。

index < 日誌 index< 日誌 <  am種 < 19-46「感覚の中」p7-