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自分の中に自分が見い出せない以上、それは他人の中に求められる。他人とは、群れ・集団・組織、あるいは社会、そして何かしらの「権威」の下にである。 人間は、他者との関係の中で自分を見い出している。しかし、この場合、深刻な不具合になっているのは、そうした他者との関係というのが、自分自身の中の、自分との関係に基づいていないということなのである。 つまり、自律した自己の自意識に基づくものではない、ということなのである。自分の中で自分を意識する自意識に基づいたものではなくて、むしろそれが欠落している、ということなのである。そうしたことが、自分自身の信じるもの、拠(よ)りどころ、根拠といったものを、自分の外に求めざるを得なくしているのである。 そしてまた、この自己意識の欠落というのが、このような他者との関係においても、そのままストレートに反映されている。すなわち、外面的で形式的な、自分の外からやってくる権威の、強制的な押し付けとなって表現されている。 |