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6、未知。


「自分が自分でなくなる」という恐ろしい話は、反面、ある意味で事実なのであって、そうやって自分というのが変化して行くのである。いまある自分を失い、元に戻って行って、再び新たね世界へと自分を形成して行くのである。

しかしまた、戻って行ったところに何もなければ、それはそれでもう終わりなのである。自分の居場所を見失うのである。存在の理由を失うのである。だからまた、それは不可解で不思議な未知なものでなければならないのである。自分のことなのに、自分でも知らない世界なのである。だからまたそれは、どうあっても、見つけなければならないものなのである。

このような現実、あるいは背景や条件となっているのは、自分のなかで失われていた、自分自身の肉体の感覚だけが知る、無意識の世界の記憶なのである。そしてこれが自分なのであり、自分の存在理由であり、意味なのである。

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