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8、意識。


同じ現実を、同じ場所で、同じ人間同士が生きているにもかかわらず、どこか根本的に異なるタイプの人間なのである。やはり「異人種」なのである。出て行ってもらわなければ困る存在、その存在自体が困る人間なのである。そして、近くに居るということ自体が、ガマンのならない存在なのである。

しかし、このような排除された人間、どこへも行き場がなく、生きて行けない人間、存在してはならない人間、生きることが許されない人間、このような忘れられ、失なわれ、消し去られた人間の中でしか、本来の意味での「自由」は意識されないのではないだろうか。

精神の自由、あるいは自分のなかの、自分だけの決して侵されることのない精神の自由といったもの、あるいは、このような自己意識といったものは、このような徹底した排除の中からでしか、意識されないものではないだろうか。

この世のなかに自分の現実が無いとすれば、それはどこか、自分の精神の中に求めるしかないものなのである。そしてここに、現実から切断された、異なる自分自身というのが意識されるのである。

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