index< 日誌 < c信じるもの< 20-03「傾向3」P10- |
事実、有史以来数千年、固定したままのカースト制度に支配されたままのインドには、歴史の意識というのが欠如していたと言われている。あるいは、有史以来数千年、諸王朝の勃興のくり返しとして現れる中国の歴史では、歴史というのが同じことのくり返しとして現れている。 永遠に変わらないものが、自分たちの信じるものとされたのである。そしてまた、それが良しとされ、それが正義とされ、理想とされ続けたのである。そうして21世紀の今もそうである。今ある王朝が、唯一正統な王朝なのである。それまでの王朝は、今ある王朝を正統化するための付属物に過ぎないのである。 そうして今ある王朝を、自らが正当化してきたのである。そして人民もまた、それでだれもが納得し安心してきたのである。安心できたのである。自分のなかに自己意識が無い以上、それを他者としての権威に求めざるを得なかったのである。 そして、そうしたことの永遠のくり返しこそが、自分たちの歴史として信じられてきたのである。自分たちが信じるもの、自分たちのアイデンティティーとしてきたのである。いまでもそうである。 |