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2、囲い。


こうしたことは、散発的で非組織的な移民、あるいは植民地化、または急激な近代化の過程において、それ以外への生存の道が閉ざされた場合にも起こっている。自分というのがたとえ外面上だけでも、何かそれまでとは別の自分にならざるを得なくなっているのである。

そうしてのみ自分というのが生存し得る、そのような意味で、自分が新たな生態的地位へと入ってゆくのである。生態的地位とは、自分の居場所であり、肉体的生存と社会的存在の現実の基盤であり、条件であり、前提なのである。

そうしてのみ人間は現実の世界で生きて行けるのである。認められ、生きることを許されるのである。あるいは、こうしたことが人間が生きて行く、文明という定められた囲いのなかの世界というものなのである。

この枠(わく)を離れたところに人間社会も、また、人間という概念自体も成り立たないのである。この文明という枠の中でのみ、人間は、人間という社会の一員たり得るのである。

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