index< 日誌 < h感じ方 < 20-33「肉体の記憶」p2- |
無意識の記憶といったものが、自分でも気づかないままで自分を支配し、導いている。 こうしたことは、言語の表現にもよく現れている。たとえば、「晴れる」という言葉は、そらが晴れるという意味で使われることが多いが、それはむしろ、空が晴れるという心情、その気持ちのあり様を指している。あるいはまた、そうしたことは、外の世界の明るさ暗さだけでなく、内なる自分自身の心の中の明るさ暗さを映し出していることが多い。 たとえば、物体がいまにも崩れかけて、バランスを求めて襲いかかってくるような、そんな荒々しくとげとげしい、そして底なしの陰と角だらけのカタチが、妙に恐ろしさを感じさせるのもそうである。 あるいは、角のない緩やかな曲面だけで構成された表面が、おだやかで優しい、ふっくらしていて柔らかい印象を受けるのもそうである。そしてまた、それ以上に、物体そのものが持つ物体表面の質感、風合い、滑らかさや、色や模様自体が持つ優しい感じや、触れる手のひらの肌ざわりといったものもそうである。 |
index< 日誌 < h感じ方 < 20-33「肉体の記憶」p2-