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それまでとは何か別の類型の人間になっているのである。この「別の」というのは、人間が生きている必然性や原理といったものが、どこかで多少とも入れ替わっている、ということである。 こういう人間は、現実から疎外された人間である。周りのみんなから浮き上がり、遊離し、うとまれる存在である。周りのみんなとどこか違うのである。現実と彼との間に境界線が築かれているのである。 のみならず、社会やまわりのみんなとも、どこか違っていて、ここでも強固な境界線とバリケードが築かれている。つまり、彼は孤独であり、そしてそれ以前に個人的で異質なのである。 自分には、まわりのみんなや現実とは独立した、自律した必然性があって、自分は自分である、自分と他人とは違うという、そうした自律した個性と人格が意識されるのである。 自分が周りのみんなとどこか違う敵対する者として感じられてくるのである。そうして個人が生成され、個人が集団から自律したのである。同じ集団の中を生きているにもかかわらず、精神は、それとは別の世界を生きているのである。 |
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