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8、システム。


従って、個人の良心といったものが、常に自分自身を無視したところにあって、他人との関係の中で見い出される。より正確に言うと、ここで言うところの他人とは、「権威」のことであって、自分をその社会のなかで居場所と意味を与えてくれる「目上の者」、すなわち、権力者や元請けや上司、あるいは両親のことである。

だから例えば、刑罰や称賛、あるいは道徳や正義といったものは、以上のような上下の関係に基づく集団の中だけに見い出され、決して自分自身の個人という世界の、内的な精神の世界で見い出されることがないのである。それは、個人というのが存在しない世界なのである。

これは、日本の社会と経済のシステムに色濃く反映されている。みんなという集団、言い換えると、仲間化し、ムラと化した閉じた世界の中で、個人というのが理没したままである。そして、これこそが正しく日本のシステムなのである。


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