index< 日誌 < ar象徴 < 20-63「マブタの内側」 |
少し疲れている。閉じた目の中で、太陽の日差しがまぶしく、逆光になった太陽の光を背にして、なんやら影のようなものが見える。業務中なのに、うつらうつら立ったままで瞬間的に夢を見ている。閉じたマブタの中で、それでも少しまぶしく、そしてそのまぶしさの中から何かの輪郭(りんかく)のようなものが、何かのシルエットのように立ち現れて見えている。 これは何かの戒(いましめ)なのだ。象徴であり、ケジメなのだ。そして何か越えてはならない境界を示しているのである。それは、越えてはならない、ぼく自身の精神の領域なのであって、そこから出てはならない境界の標識を示しているのである。まるでカンバンか何かの印しのように。 それは何かの廃墟であって、遺物であり、打ち捨てられたかつての何かの残骸なのである。ぼく自身のなかで忘れられ、失われ、消し去られて行った何かの記憶の痕跡、あるいはそのカケラなのだ。 だから、おぼろげでかすんで見える輪郭の影として、途切れ途切れの不連続な線として、ぼやけて捉(とら)えどころのない人為的な何かの痕跡や遺跡のように見えてくる。大昔しにだれかが住んで生きていた何かの跡のように。あるいは、捨てられ、廃れていって、忘れられ、壊れていった何かの廃墟、遺物のようにも見えるのである。 |
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