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5、場所。

キッカケは何でもよかったのである。僕には夢が必要だったのであり、無意識の世界でなにかを呼び覚ますことが必要だったのである。その「なにか」とは、ぼくにとっての忘れ物であり、消えて行ったもの、そして、いまのぼくには失われたものだったのである。

それは鎮魂であり、そしてそのタマシイを呼び覚まし、呼び起こしているのである。それが自分のなかで響き、コダマし、共鳴しているのである。かつて不要なものとして退けて排除してきたものを、再び呼び起こし思い出そうとしているのである。そうした必要が僕の中にあったのである。

それは、あってはならないもの、あるはずのないもののことである。しかしまた、だからこそ夢の中に出てきているのである。それは、現実の意識の世界に出て来てはならないものだったのである。しかしそれは、どこかに出て来なければならず、そしてまた、それは「夢」以外に出て来る場所というのがなかったのである。



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