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5、傾向。

そしてこの境界線こそが自己と他者の境界であり、自分が自分であることの証明であり、条件なのである。だからまた、この範囲内でしか人間は自分を表現し得ないのである。こうしたことが人間にとっての制約であり、条件であり、そして事前の前提となっているのである。

そうした意味で人間は、自分の性格や気質、情緒といったものを、あらかじめ条件付けられ、方向づけられているのである。それは、主体が持つクセであり、傾向なのである。それは、そのようにしか成れない、という意味でそうなのである。

そしてまた、これを歴史的な概念でとらえると、このような条件といったものが人間にとっての制約であると共に、そして同時に現実的な方向性でもあり、自分自身が持つ傾向でもあり、そしてそれが目指す志向性として現れるのである。



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