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3、偶然。

偶然の錯覚によって、近くの関係のない別々の出来事が、互いに関連していると錯覚し始める。暗示・比喩・抽象化・象徴・比較・分類・カテゴリー化などが、その例である。意識や思考のレベルではつながっていないが、自分でも気づくことのない無意識の世界でつながっているのである。意識の届かない感覚レベルや、感覚総合間の無意識の神経や生理の世界でつながっているのである。

そして、つながることによって、それらが呼び起こされ、記憶の断片や、何かの影や痕跡として思い出されているのである。だからまた、いつまでたっても、それが何のことなのか分からず、理由が不明のままで、印象だけが記憶に残っているのである。そして、印象だけでそれらが勝手につながり合って、何か得体の知れないイメージを作り出しているのである。

しかしまた、そうやって現実世界の観念化がなされるのである。自分にとっての現実というのが認識されているのである。現実の世界というのが、目に見えないところで抽象化され、無意識の観念の世界の中で、それらが秩序を持った世界の全体として理解されているのである。


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