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2、食べられる。


正確に言うと、他人という人ではなく、人間ではない、そうした何か別世界の者に自分が食べられてゆく。そうやって自分がこの世から消えてゆく、そう思えて来るのである。この別世界の者とは、要するに世間一般の言葉で言うと、つまり、亡者、オバケ、ユーレイのことである。だからまた、何よりも恐ろしく思えてくるのである。それはもはや、自分ではどうにもならないことなのである。

これは、自分たちの死者の世界であって、そこから招かれ、誘われ、招待されているのである。そうやって、自分で自分のタマシイの世界をのぞき見しているのである。見てはならないものを見ているのである。自分自身の肉体の生理作用を通して、かつての自分の祖先たちと、すなわち、「死者たち」と交流しているのである。

従ってまた、これは直感なのである。意識とか思考以前の、自分の肉体自身の記憶なのである。自分の肉体の中に閉じ込められていた、感覚自身の記憶なのである。そうした感覚の、感覚自身に対する感覚なのである。数万数百万年に渡って形成されてきた、自分自身の身体のカタチとその機能によって導かれているのである。そして、これが自分自身の身体のすがたなのである。


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