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1、ひびき。


たとえば、寝ているときの足の先の「もぞかゆさ」から、空を漂っている自分を感じ、また、それを夢の中で見ている。また、目覚めている真昼であっても、まぶしい目舞いのしそうな逆光の中で、何かわけのわからない別の世界を見ている。カゲロウや錯視、幻がそうである。

暗い底の見えない井戸の中を見ていると、いつの間にか、それへと引きずり込まれてゆく自分を感じるのもそうである。あるいは、美しい絵画を見たり、音楽を聴いて感動したり驚いたりするのもそうである。

そして、驚いたりしているのは、自分自身に対してそうなのでる。それに感動する、そうした自分自身の中の未知の部分に対して驚いているのである。自分のなかにあって、自分でも気づくことのない、そうした自分の中の遠い過去の記憶が、それへと連動し、誘導して、同期しているのである。それらが互いに反射して、響き合っているのである。まるで谷底の暗い影の中から、何かが響いてコダマしてくるのである。


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