――イメージをカタチに(・Image)―― 「非日常的風景」、その⑤-1。 陰影の色。 陰影の、 暗い闇の底から浮び上がって来た色は、 誰か他のものによって、照らし出されたものではない。 自らの、底から浮かんで来て、 そして溢れ出たものだ。 ここに、自己というものが、 純粋に、自分自身によって映し出されたのである。 未知なる、何か得体の知れなかったそれは、 ようやく、おのれの姿をあらわにしたのである。 色と形が、 世間並みの方向性とルールを全く無視して、 直接こちらを向いている。 現実の全てを否定して。 僕と風景が一体化してしまった。 風景が直接、僕の心をのぞき込んでいる。 魂が交感し合っている。 乗り移ったと言ってもよい。 共有したのだ。 太陽が消えたことで、 自分と世界とをつなぐ、か細い絆(キズナ)は切断された。 僕は何か異質な世界に迷い込んだのだ。 僕と世界との上に、 何か目に見えないブェールのようなものが覆い、 自分と世界とが一体化してしまった。 あるいは、永遠に分離されてしまった。 人々を結ぶ世界の中心は、 太陽の光のかなたにではなく、 僕の目の前の、 この異様な空間にこそあったのだと。
市 ・Image。 |