――イメージをカタチに(・Image)―― 「非日常的風景」、そのD。 内にむかう陰影。 タバコを吸いに外へ出て見ると、 「影」がない。 家の周りの風景から、 「影」が消えている。 霧もなく曇り日でもなく、 空は、青く晴れ渡っているのに、 「影」がない! なんと、薄気色の悪い事態だろう。 太陽が、 光の源(みなもと)としての太陽が、 どこを探しても無いのに、 この世に、光が満ち溢れている! 今、僕はそれを目の当たりにしている。 こんなことが、はたしてあるのだろうか? そればかりか、もっと気持ちの悪いことに、 「陰影」が内に、それぞれの物体の中心に向かっている。 これは、あり得ないことだ。 影と陰影は常に、 照射される光の反対側に生ずるのであって、 映し出された物体の中心に向かう、などということはあり得ない。 光は常に人の外から、人の目に入って来る。 人の側から光を発するのでも、 物体自体が光を発してる訳でもないのである。 にもかかわらず、 「陰影」は内に向かい、 その中から、色と形が見る者に向かって映し出されている。 まるで物体が生きていて、 それ自身で自らを映し出すように。 あるいは、僕自身を映し出だしたように。 市 ・Image。 |