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index(索引)concept(概念)日誌2010-0210-7   市



<真冬の妄想>、F 乾いた空。



風景に艶(ツヤ)が無い。
これが、冬の風景の特徴ではないだろうか。

風景全体が乾いていて、
なまめかしい色合いや、風情、
にじみ出るようなしっとりした感じがない。
生命の表現としての色数が少なく、
それも全体として少し暗い。

光そのものの、絶対的不足。
それが風景をして、
鮮やかさとコントラストが控えめな、
全体的に薄暗い、灰色っぽい感じにしている。
モノトーンの、追憶の世界に、
戻ってしまったような気持ちになる。

風景にツヤがないのは、乾いているのだ。
ものの表面に湿気や水分といった、
潤いがないので、
すべるるような、なめらかさといったものがなく、
光が不規則に分散しているのだ。
だから、光沢といったものが少ない。
しっとりした感じも出ない。


薄暗い冬の日には、
それが陰にこもった様な感じを受ける。
閉じた、交流を拒むような印象だ。
内向的な、全体的に内向いた色合い。
外への光の反射・光沢が抑えられ、
受けた光で自己を照らそうとするのではなくて、
反対に、溜め込んで分散して、
光の痕跡を打ち消しているようにさえ感じられる。
鋭さとか鋭敏な感覚もない。
明るさや、鮮やかな感じもない.
美しさとか、嬉しさなどとも無縁だ。
意思というものが沈んで、
固まって隠れてしまったような状態。
「乾いている」とはこのことだ。

このような、風景を包む潤いは、
生命の象徴なのだろうか?
生々した表情も、セクシイな感じも、
表面の、こうしたしっとりした潤いなしに考えられない。


戻る。            お終い。

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