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古文書A、<文化>



子供のころ、
古文書の文字列が恐ろしかった。

それははどのように見ても、文字ではなかったし、
そのような目的で描かれたものでもなく
あるいはまた、偶然に出来たものでもなかった。
なぜなら、古文書からは生きた、
強烈な意思が感じられたからである。
古文書は、人間以外の何か別の、
生き物が描いたもののように思えてならなかった。

それは、
古紙の中で生きていて、
自分の苦しみに耐え切れなくなった文字が、
苦しみあえぎながら、のたうち廻っている。
そうして、しばらく見ていると、
僕に気付いて、襲いかかってくる。
僕の肉体を透通りして、
僕の魂の、生きた地肌を食い散らす、
そのような残虐を生業とする、
得体の知れない生き物、
それが、古文書の文字列であり、
古文書は、その棲家なのであった。
……、僕には、そう思えてならなかった。
(スイマセン。僕は怖がりでした)

この文字列がとても生ナマしい。
まるで生きている。
このような古文書の存在、
あるいはその理由とは、
いったい何だったのだろう。


戻る。                   続く。


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