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古文書A、<文化>

文字列に描かれているもの、それぞれに、
およそ規則というものがなく、バラバラで、
全体としてみた場合も整合性がない。
文字の間に字画というのもなく、
いったい、どこからどこまでが
一つの字なのかも識別できない。
そして様々な、
はてしなく無限に変化する曲線の連続。
それらが何の脈絡もなしに、途切れては繋がり、
あるいは線自体が太くなったり細くなったり。
気ままで、自由自在なのである。
ここでも、合理性などは全く見られない。
実に気紛れなのである。
つまりこれは、何か約束事を記(しる)したのではなくて、
何か、心の中で浮かんだものを、
そのままキャンパス上に現わしたのである。
言葉ではなく、心情が表現されている。
指先ではなくて、気持ちで描かれている。
雰囲気とか情緒で描いている。
これは、感情とか情緒を、
抽象化した曲線で表現した絵画といえる。
それは、
言葉とか意思などというよりも、心情とか情緒、
その場の雰囲気とか「空気」で描いている。
それは、もって生まれた先天的な気質なのであって、
無意識の世界を描いている。
この地で生きてきた民族の、文化の記憶なのである。
もしも、中世の人々が、
コミュニケーションというものを、
このように感じていたとするならば、
それはそのままで、
現代日本社会の特徴そのものなのである。
文化そのものなのである。
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