――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<日誌<2011-0417-a 市
見つめる「夫人」 @ 描く。
(ドミニク・アングル::ドーソンヴィル夫人)
この絵がどうも気になる。 「夫人」が絵の中から、 ずっと、僕を見つめている、 そんな気分になって来る、 不思議な絵だ。 ![]() モニター上でなく、 もう少し精緻な印刷写真で見ると、 そうした疑惑は一層強まる。 なぜだろう? 夫人の存在が非現実的なのだ。 奥の、鏡に映った夫人の後姿の方が、 もっとリアルに見える。 そう思えてくるのは、、 僕の錯覚なのであって、 この絵が描いているのは、実は鏡の中の世界であって、 始めから終わりまで、 出口の無い空想の世界なのである。 それは、鏡の中で反射して、 映し出された自己の幻影。 見える現実世界を無視して、 画家の網膜上で再現された、記憶の世界だ。 それを画家は、 原始的な筆と顔料で、イメージとして再現してゆく。 自己の経験と感覚だけで描いている。 そうするしかないのである。 それは、現実のどこにも存在しないし、 画家の、観念の中だけに存在する世界だからだ。 作者は、自己の心の中を描いている。 どのように描いてみてもそうなるしかないのである。 描く筆は、画家の感覚そのものだし、 それは、画家本人にもどうにもならないことなのだ。 画家自身がすでに、 自分の経験と記憶に支配されている、 「描く」とは、このことを言っている。 index(索引)<concept(概念)<日誌 |