――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<日誌<2011-0828-1 市
冷静さとか、 自己をかえりみる内省などといったものは、カケラもない。 自らの欲するままに生きる。 それも、ハダカのままで。 自己と他者とを隔(へだ)てるものは何もない。 まるで、自分の肉体の中から、 浮かび上がって来たような構図である。 赤やクリーム、茶色などの暖色系でしつらえた室内の、 壁やソファー、カーテンまでもそうだ。 それらが、悶えながらうごめき、揺らめいでいる。 そしてその内奥の裂け目から滲んできて、 溢れ出た「ハダカの肉体」……。 熟れた異性の肉体の淫乱な肢体。 妖しげな口もと。 そして何か意味ありげに誘うような微笑。 目は閉じているが、 意識は明白にこちらを向いている。 でもそれは、どうでもよいことで、 関係が無いことなのだ。 なぜなら、 それは、この部屋の設(しつら)えから来ている事なのだ。 「裸婦」は、この「部屋」が映し出した幻想なのだ。 淫乱なのはこの裸婦ではなくいて、 それを生み出すこの「部屋」にこそ、 すべての根源があったのである。 それは、幻に過ぎない。 すべては、この部屋が暗示し予感させる、 果てしない夢の中の一つの幻想に過ぎない。 |