――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<ルネサンスへ<2012-0303-4 市
自己の内部で蓄積されて来た、 個の記憶や体験、技(わざ)といった個性が、 余計なもの、不必要なものとして、 消し去られてしまったのである。 そしてこうした状態を、不思議に思わないし、 不自由とも感じなくなってしまったのである。 自分の心の中にある、 何か言い知れぬ未知の部分。 あるいは、その無限の可能性といったものを、 私たちは、信じなくなってしまったのだ。 それは、 20世紀という古いシステムが残した、 迷信の世界なのである。 自由が消えた。 そして、自己の存在理由が忘れられた。 このような、自己の深淵(しんえん)から発する、 本能的な直感といったもの。叫び。 それが、ないものを見たり感じたりしてしまう、 理由ではないだろうか。 未だ理解出来ないでいる、 自己の未知の部分に対する、 限りない恐れやおののきなのである。 それは、情緒的な心理状態であって、 理屈とか客観的な合理性などで、 説明出来るものではないのである。 しかし、最も注意すべきは、 このような「失われた本能的な感覚」といったものが、 特に変わった感覚でもなければ、 あるいは、特殊な才能でもないということである。 大切な事は、今となっては、 ただ「忘れられた感覚」となってしまった、 ということなのである。 そして、そうしたことをもう一度発掘し、 再発見してみる必要に迫られているのである。 |