――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)<concept(概念)<ルネサンスへ<2012-0303-3 市
それにしても、いったいどういう訳で、 無いものが見えて来たり、 何もない所に、ものの気配(けはい)を感じたり、 あるいは、物かげや暗がりの中に、 何かがじっとひそんでいるように、 思えてくるのだろうか? そもそも、居ないのだから、 それを見たり感じたりすること自体が、 オカシイのである。 にもかかわらず、そうしたものの気配が、 まとわりついて離れないのである。 つまり、これは神経過敏なのである。 ありもしない、些細なことに過激に反応しているのでる。 このような生身(なまみ)の、 今にも壊れてしまいそうな、傷つきやすい精神、 こうした、デリケートで繊細な感覚といったものは、 今となっては、忘れられた感覚である。 私たちの、ものの考え方や感じ方は、 外の世界が、自分の五感(視覚・触覚・聴覚・味覚・嗅覚)に 与える刺激だけに反応するように、退化してしまった。 それらを、 五感を通した、自己の「第六感」として、 感じなくなってしまったのである。 自己の根源にあって、自分を自分たらしめている 本能的な直感といったものが、見失われてしまったのである。 |