――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)concept(概念)ルネサンスへ2012-0303-2  市


A  オバケ。



このオバケたちに、
いつの間にか、僕の魂が乗っ取られて、
僕が僕でなくなる、そんな気がして来て、
それはそれは恐ろしかった。
そんな、自分が怖かった。
このオバケはたぶん、分裂した僕自身の姿なのかも知れない。
鏡に映った、僕の心の中の世界なのだろう。
だから、真に迫って来て、
恐ろしく感じるのである。
つまり、逃げ続けることが出来ないのである。

ここでもう一つ気になるのは、
「死んでるはずなのに、じっと僕を見つめ」ている点である。
これは、肉体と精神が分離した状態である。
肉体は死んだのに、意識だけが肉体から離れて
生き残っているという状態である。
それは不死身である。
現実世界の物理的制約を超越している。
それから逃げ去ることが、出来ないということである。

肉体がないので、現実には何も出来ない。
にもかかわらず、
それは肉体という現実の物理的制約を超越して、
直接、人の魂を食べにやって来る。
恐怖から、夢と現実が混同されて、
精神が破壊され、
オバケに乗っ取られてしまいそうになる。
それは、「心」の問題である。
このほうが、はるかに恐ろしいのである。

これが、足も影もない、

なんら物理的強制力を持たない、
日本のオバケ(幽霊)の、恐ろしさなのであります。
それは自分の心の闇から生まれ出た、鏡の中の世界であって、
西洋の、ドラキュラやゾンビなどよりも、
遥かに恐ろしい世界なのです。




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