――イメージをカタチに(・Image)――
index(索引)concept(概念)ルネサンスへ2012-0702-2  市



シルエットA、 幻のように。


心の奥底の、
いつも夜のような暗闇の中にあって、何も見えず。
それが何かのキッカケで、
ふっと何かが見えたと思うと、すぐに消えてしまう。
まるで、たゆとうまぼろしのように。
探しても探しても見つからず、
いつも途方に暮れている、そんな世界である。

確かに、このような「感じ」は、しょっちゅうある。
昔の白黒写真とか、どこにでもあるようなスナップ写真、
あるいは、ふくよかな丘陵の風景とか、
咲いたばかりの花のつぼみとか……。
いつでも、どこにでもありそうな景色である。
つまり、「無意識」という、
意識が固まって、それが自覚されない状態なのである。
しかし、なぜか僕には、そのほうが親しみやすいのである。
しっくり来るのである。そしてこのような、
僕の空想の世界だけが本来あるべき現実、
あるいは、現実そのもののように思えて来るのである。

そして、忌々しい真の現実が、
まるで夢か幻のように、僕を追いかけて迫(せま)って来る。
疎(うと)ましく、決してなじめない。
この時の僕は、外から自分を見つめている。
まるで、他人のように。
生きた現実の肉体から、意識だけが離れて、
別の異質な世界から、自分自身を見つめている。
そして、自分が別世界の住人のように思えて来て、
現実というものに、
非常に強い違和感を覚えるのである。


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