もしも彼女が、神秘的で神聖であらんと望むならば、
光を彼女の後ろから照らせばよい(逆光)。
そして、背景を濃い霧にして、
その中から彼女のシルエットだけが、
おぼろげにかすみ、浮き上がって見えるようにする。
逆光の影響でコントラスト(明暗)が弱まって、
彼女自身の表情や輪郭は、
不明瞭で、捉えどころが無い。
それは、見る者がイメージする象徴の世界だ。
例えば、薄暗い教会堂に入った時、
正面奥の窓からの、一条の光によって、
マリア様が、背後から照らされるのと似ている。
(逆光の写真 ↓)

しかし写真は、そのように撮られていない。
「初めの写真」は、より実写的で、
ありのままにすべてを見せている。
初めの写真。

出所http://www.youtube.com/watch?v=Uv_g26skMFs
直射光が斜め頭上近くから、彼女を照らしている。
これが、彼女を照らす光の方向である。
この天上の光によって、彼女は表現されたのである。
それは彼女の精神の世界である。
しかし彼女もまた、現実の世界に生きている。
そしてその現実の中にあって、
瞬間的に垣間見せた、彼女の心の扉なのである。
それは彼女を包み込んでいる、
背景の模様にもよく現れている。
まるで、夢の中のような、
モヤモヤとしたマダラ模様の、薄暗さの中にあって、
仄かな明るさだけが、彼女を背後から導いている。
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