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index(索引)concept(概念)ルネサンスへ2012-0721-2  市



彼女の表面。


SWEET EVELINA - Ladies & Love Songs of the Civil War - Tom Roush
出所http://www.youtube.com/watch?v=Uv_g26skMFs

確かに、彼女の「ポーズ」は、不自然である。
このような姿勢で、長時間いる事は苦痛である。

まず、眼の中の瞳孔が、
焦点が定まらず遠くを見ている。
それは首も同じで、
胴体から、顔面だけが左を向いている。
このような姿勢で長時間いるのは、
不自然なのである。疲れるのである。

しかし、身体が視線の方向を向く事はない。
なぜなら、彼女自身がそれを拒んでいるからである。
彼女の右肩は後ろへ引いて落ちている。
それが彼女の重心の位置なのである。
それは、左に向いた上半身を、
右に戻す時の重心の位置である。
だからこれは、つかの間の一時の出来事なのである。
何かのハズミで何気なく振り向いたのである。
そしてこの時、不意に彼女の中にある、何かが照らされた。
普段は埋もれて消えていた何かが、
一瞬、表に現れ出たのである。
芸術家はこの瞬間を逃さない。とらえたのである。

それはきっと、心の中の世界である。
意識することもなく何かを見ている。
彼女の視線は曖昧で、どこか遠くを見ている。
そして瞳孔は、地上よりやや上を見ている。
現実から少し離れたものを見ている。
目を開いたまま、夢を見ているのだろうか?

見開かれた目、ふくよかな頬や唇(クチビル)。
それらが映し出す彼女の表情は、とても優しく穏やかである。
それは何か明確な意志とか、目的を持った表情ではない。
本能的で無意識な、自然に見開かれた表情なのである。
優しく穏やかに緩んできて、包みこみ、
そして開かれた、そうした表情である。
つぼみが咲いたばかりの、花のような美しさである。
いつ壊れるとも知れない、はかない美しさである。
それが、無意識の内にあって、
外へ向かって、チラリと垣間見せた瞬間である。

それは同時に、
この写真を見る者にとってみれば、
自分自身の心の奥底にあって、
決して見失ってはならない、美しさでもある。
そして、それがわかるということは、
彼女自身よりも、それを見る者の方が、
はるかに深刻で、より切実なのである。

 戻る。                   続く。



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