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光の中、夢の世界。


光に実体などない。
それは、物体ではなくて、
物体の「見え方」なのである。

物体と一体でありながら、物体から離れて出てきた、
実体のない、仮空の存在なのである。
だから、その「見え方」というのは、様々に変化する。
定まった形などなく、あちらこちらへとさ迷いだして、
うろつきまわる。そうした、現実を失った、
実体のない感覚だけの、夢の世界。

それは、何かのキッカケで、
精神が、肉体から離れてさ迷っている状態である。
このような、光のマブしさに、
とまどい、おどろいているのは、
まさしくそれが、自分自身の心の中を見ているからである。
まるで、自分というのが、夢の中を、
一人でさ迷い出ている状態なのである。
それは、何のさだめもケジメもない、
一人だけの世界なのである。

だから、この光というのが、何にでも見えてくる。
未知の魂(タマシィ)にも、
何かのはてしない、祈りのようにも。
あるいは、抑えられない自己の、
何かの衝動のようにも思えてくる。
このような、異質で現実離れした、けじめのない世界。
自分と他人を区別できず、自分自身をすら見失う。
私たちは、そうした内閉的で、孤独な感覚の世界を生きている。
そうして私は、光の中に、自分だけの夢の世界を見ている。

だから、永遠なのである。
精神は、時の流れに変わることなく存在し、
肉体が持つ、現実の制限もない。
世間のわずらわしさにも左右されず、
自己のわがままに惑わされることもない。
そうした、はてしなく永遠で、限りない存在。
自己の精神が求めて止まないもの。
それは、自己の存在を超えたところにある、
祈りのようなものなのである。
 戻る。                  お終い。



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