index(索引)<ルネサンスへ<2014-1101-d 日本的なもの。
④ 行列。
日本の街角や商店の前では、 よく、行列を見かける。でもそれは、 その店が特に優れているとか、 そこにしかない何か特別のものを、 提供しているからではない。 勘違いしてはならない。 日本人は何か目的があって、 行列に加わっているのではないのである 行列自体が、群れの中にいるということ自体が、 目的なのである。今、みんなといっしょにいる、 ということ自体が目的なのである。 これが日本の信仰であり、宗教であり、 自分が今、生きているという証明なのである。 無宗教とは、まさにこのことなのである。 集団という「和」の中で、 自己意識がぼんやりと隠れたままで、 自分自身の考えというのを持たないのである。 だから、行列もするし、自らすすんで、 整然と秩序正しく並ぶのである。 波風が立つことなく、素直に、まるでそれこそ美しく、 キレイに集団の中に溶け込んでいる。 そして、それこそが、日本の自己認識の仕方であり、 自意識そのものなのである。 文化的無思想。 技術における、文化との断絶。 応用に長(た)けた、行き当たりばったりの、 臨機応変の現実的な態度の根底にあるのは、 それは、「群れる」ということを求める。 「群れている」ということ自体が、 日本人にとって、唯一の信仰に他ならない。 そして、これが現実的であるという、意味である。 |