index(索引)ルネサンスへ2013-1115-3 「かすみ」と「ぼやける」。


③ サダメ。

その何かとは、
キリなどの自然の状態もあるし、人為的な、
人間の目の一時的な障害や衝撃、
あるいは、心の動揺だったりもする。
いずれにしても、それは現実にあるものか、
あるいは、それが原因になっていて、
そうやって、見えたり消えたりしているのである。
そして、その変転する世界の中で、
何かの記憶をたぐりよせているのである。

見える、見えないというのが、問題なのではない。
見えるのでも、見えないのでもなくて、
それが、見えたり見えなかったりするのが、
問題なのである。そうした、
変転する世界の中で自分自身を見ているのである。
現実が現れては消え、迫ってきては退いて行く。
それは、自分の力ではどうにもならない、
自然の偶然が重なったものである。
人間の運命とは、こうしたものなのだろうか。
かすむ風景の情景は、
人間の心の中の情景でもあって、
人間は自分自身の定(さだ)めみたいなものを、
見ているのである。

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