index(索引)ルネサンスへ2013-1115-3 「かすみ」と「ぼやける」。


② 霞(カス)み。

しかし、まぼろしは、
始めから最後までぼやけたままだ。
だからまぼろしなのだ。
まぼろしは、現実にないものを見ているのだ。
空想と観念の、頭の中だけでイメージ化された、
おぼろげな記憶の世界を見ているのである。
意識されることのない、
無意識の世界を見ているのである。この点で、
かすむというのとは、まったく異なっている。

かすむというのは、すでに現実にあるものが、
見えなくなって行くのである。
例えば、霧が晴れるとか、夜が明けるとともに、
かすみの中から、
現実が浮かび上がってくるのである。
つまり、現実にあるものと、
それを見る者との間に何かがあって、
それが人間をして、見えなくしたり、
見えたりさせているのである。

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