(  市)ルネサンスへ<2015-0213-a-1 夏の暑さ、



③ 厚かましい。


夏の有無を言わせぬ不可抗力、熱と湿気の世界。
抵抗を断念させる、自然の圧倒的な支配力といったものが、
夏の自然の色にも表れている。コントラストが強く、
色が強く濃い鮮やかさ(ストロング)で、
そしてそれぞれ力強く対抗的なのである。
そうならざるを得ないのである。自分の外へ出て、水と熱を、
あるいはまた、他の生物を自分の中に取り込んでこそ、
自分が生き続けることができるのである。

生命が入り乱れ、あふれすぎて、
対立し、抗争しあう世界にあっては、
それが秩序であり必然なのである。
そして、それがまた、日本の夏のむし暑さの実体なのである。
むし暑いとはこのことである。わずらわしく、うっとうしく、
少しもじっとさせてくれない。そして、
いつも何かに追い立てられているのである。
だから、外へ出て、自分がそれに対抗しない限り、
自分が、それに押しつぶされてしまう。

それは、他の生物たちも同じで、
自分の仲間と、他の生き物たちよりも、
自分が、より多くを摂取し取り込まない限り、
自分が取り込まれてゆくことになる。
自分が、自分でなくなってしまうのである。
それが、生命が横溢する、生命活動の頂点としての、
夏の世界なのである。

だからまた、夏の世界の色は、力強く、鮮やかで、
コントラストも強烈で、そして、なにもかもが、厚かましくて、
ずうずうしく、ふてぶてしく、そして騒がしく自分勝手である。
生命といういのが、そうやって自分を生きている。
そうならざるを得ず、そうやって、
自己と、生命全体が維持されている世界である。 
それが、必然であり秩序なのである。

   戻る。               お終い。



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