(  市)ルネサンスへ<2015-0221 夏、



③ 水蒸気。

雨上がりの直後、空気に水分が多く含まれて、
遠くの景色が良く見える。しかし、カスミも霧も水分である。
そして、カスミと霧は風景をさえぎって見えなくしているのである。
どこが違うのかというと、雨上がりの後は、飽和水蒸気だけであって、
それ以外は液体となって流れている。これに対して、
カスミや霧の場合は、「不飽和」水蒸気だけであって、
やがて、上空へと消えてゆくか、地表面上の空気に飽和してゆく。

霧やカスミの正体がこの不飽和水蒸気だとすると、
それが、遠くの景色を見えなくしていて、
たとえ水分が多くても飽和状態の夏の空では、
遠くの景色でもよく見えるのではないだろうか。
風景が滲(ニジ)んで見えてきて、バラバラな点と線がつながって、
太い線となり、輪郭とカタチというのが、くっきりと浮かび上がってくる。
そしてまた、夏の強烈なコントラストが、それをいっそう際立たせている。
夏の風景は、景色全体が、少しにじんで見えてくる。

雨上がりの直後もそうだ。
景色というのが滲(ニジ)んで見えてきて、
また、輪郭がハッキリ見えている。遠くの景色もそうである。
それは、空気中の飽和水蒸気量の増加によるとおもわれる。それはまた、
冬の、気温の低い、乾燥した、飽和水蒸気量の極端に少ない、
冬の景色の見え方と比べて見るとよくわかる。
冬の景色は滲むとは正反対に、カサカサしていて、
全体がかすれて見える。

     戻る。            お終い。


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