(  市)ルネサンスへ<2015-0221 印象の世界、



② 強制力。

人間は出来ることしか、出来ないし、
この出来ることを定めているのが、
人間が生きている、この現実の地平なのである。
それが、人間を条件づけ、規制しているのであって、
人間の生き方というのを、暗黙のうちに方向づけているのである。

人間の自由な可能性といったものは、
可能性という時点で、すでに条件づけられていて、
まさに、このような条件、制約があるからこそ、
それが可能性であると言えるのである。
人間が現実の世界を生きている、といえるのである。

だからまた、人間の可能性は、
人間のおかれている現実の条件によって、
すでに定められ、限定され、
方向づけられている、といえるのである。
それは暗黙の、意識されることのない、
人間を縛り続ける絶対的な強制力である

意識するはずのない肉体が、意識を無視して、
肉体自身で何かを指向し感じて、そして求めている。
行くアテのない、何かの激しい衝動にさいなまされている。
それは、自分の意思とは別に、もともとからあったもので、
それが、幻のように表れて来て、
外の、現実の世界へ出ようとしているのである。

     戻る。            続く。


ルネサンスへ