( 市)ルネサンスへ<2015-0320 かすむ、
1:強制力。
「かすむ」とは、ぼやけると同様に、 もののあいまいな見え方であるが、 「ぼやける」とは、その見え方も、原因も大きく異なっている。 かすむとは、見る者と、景色との間に、 なにか他のものが入ってきて、 見えにくくしているのである。他のものとは、 たいてい空気中を漂う水蒸気のことである キリとか、カスミ、モヤがそうである。 それは、人間の意志や、主観や、 感覚の外にある強制力なのである。 人間の主観的な思い込みだけでは、 どうにもならないのである。それは、 風景の中にキリが入りこんできた場合もそうだし、 あるいはまた、なにかの衝撃で、脳ミソがぐらついて、 脳内の映像にノイズが入る場合もそうである。 人間の主観的な思いこみや、意志ではどうにもならない、 避けようのない、客観的なあいまいさ、強制なのである。 この主観的でないというところに、 「ぼやける」との、決定的な違いがあるのである。 コントロール不可能な、外からの強制として、 見え方のあいまいさがやってくる。だから、たしかである。 空想ではなく、現実を見ているのである。 あいまいさというのが、外からやって来て、内面に反映される。 だから、本人の気まぐれが通用しない。 だから、なにを見ても聞いても触れても、 自分の外の世界からの問いかけとなる。 他者というのが、外から、自分の内面へとせまってくるのである。 戻る。 続く。 |