(  市)ルネサンスへ<2015-0327、冬の空、




5:輪郭線。

光の明暗、コントラストも違う。
夏のコントラストは、ものと、ものとのあいだ、境界線などが
むしろ、暗く感じられて、それが景色の輪郭線を際立たせている。
コントラストが強烈なだけ、陰影のカゲの部分が暗くつぶされて、
めだつのである。他方、明るい部分もまた、まぶしく、せまってくる。
だから、ものの輪郭といったものが、くっきりと浮かんできて、
何か、奥行きみたいなものを感じるとともに、
現実的でリアルな感じがするのである。暗い部分から、
くっきりと、カタチが浮かんでくる感じである。
これが、夏の光の明暗である

ある意味で、春の色は、これと正反対である。
背景が白なのである。だから、輪郭線は黒というよりも白であって、
輪郭線というより、シルエットに近い。周りを包む空気の色が、
水蒸気で少し白っぽいのである。これが春カスミでもある。
乱反射を繰り返す空気の白さ、白い空気の光の中から、
景色が浮かんで見えているのである。

外周の境界線が周りの空気に溶け込んで、消えて行って、
景色の内面といったものが、ありのまま、無邪気というか、
なんのためらいも、警戒心もなく、あらわに映し出されている。
おだやかで、優しく、柔らかくて、すっと溶け込んでしまいそうな、
そうした、うららかな陽気の世界である。


 戻る。             お終い。


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