( 市)ルネサンスへ<2015-0417b 目を閉じた世界、
4:背景の色。
そうした、何の意味も持ち得ないような意識の世界である。 自他の区別がなく、自意識という自覚のない世界。 このような、いまだ、自己というのが意識されない状態、 これが、背景の色なのである。そこから、自己が意識されてきて、 線となり、カタチとなる。だが、正確にいうと、この背景の色は、 ほとんど、色などではなくて、あるのは、グレーの明暗のかすみと、 よどんで、おぼろげな世界である。何の形も輪郭も規則もない、 偶然と気まぐれだけが支配する世界。区別がなく、あいまいで、 とらえどころのない、移ろいと変化を不連続に繰り返している、 なにもかもがあいまいで、ぼんやりした世界である。 そうした世界から、自己と他者の区別が生じてくる。 そして、そこから、形が現れてくる。 最初は、途切れ途切れのなにかの線として。 つまり、空間の裂け目として表現される。 空間が歪んで、きしんで裂けて、その中から、 何かの裂け目がシルエットとして、 形みたいなものが形成されてくるのである。 あっちの世界とこっちの世界が交流しているのである。 それをまねいたのは、① 自己の内部からの 何か抑えられない衝動。あるいは、② 外部からの衝撃。 または、③ 外部からの誘発・影響によるもの。外からの 誘発が内部を刺激し、よびさますのである。 |