(  市)ルネサンスへ<2015-0501-b ぼやける、



1:かすむ。

「かすむ」というのは、人間と景色との間に何か、
例えば、霧とか煙のようなものが入ってきて、
景色がかすむこともあれば、人間自身の観念の世界、
ないし、肉体の神経や、
生理作用に従うかすみ(ノイズ)も考えられる。
それは、人間の目の中でのノイズである。
どちらも、「かすむ」のは、本人の意思に関係なく、
本人と物との間に何かが入って来て、
見えにくくしているのである。

これに対して、「ぼやける」というのは、
目の水晶体(レンズ)の焦点距離のズレであって、
人間がコントロールできる見え方・ぼやけ方である。
「かすむと」は、本人の意思の届かない世界であり、
「ぼやける」とは、そのほとんどが、
本人の意思のコントロール下にある世界である。

そして、それと意識することなく、人間は、
自分にとって興味のないものを、ぼやかして見ている。
というか、意味のないものとして、無視してしまうのである。
見る必要のないもの、見てはならないもの、
都合の悪いもの、見えていてはならないものとして、
見るということがないのである。だから、記憶に残ることもなく、
思い出すこともなく、見ることもないのである。
自分が、見ていたということが、
どうしても思い出せないのである。

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