(  市)ルネサンスへ<2015-0501-b ぼやける、



2:印象する映像。

見ているものが全体として、人間の目に見えてくるのではなくて、
それを象徴し特徴づける一部分だけが、先に見えてくる。
あるいは、なによりも先に見ようとし、見つけ出し、
この一部分だけが先に見えてきて、それからあとで、
全体が見えるといった場合がある。
なにげなく見ているのではなくて、
目的と意識が先行してものを見ているのである。

意識が先行することによって、
その象徴となるものを先にさがし、見つけようとし、
求めるのである。だから、そのとき、
その部分だけに焦点が定められ、
他の部分が、ぼやけてかすんでしまうのである。
仮に焦点距離があっていたとしても、
見えていないのである。

例えば、人間の顔である。
まず、目のひかり方から、それがだれかと意識され、
識別され、その後に輪郭がわかり、全体がたしかめられて、
実際、だれそれであったと納得されるのである。
この場合、現実に見える、目の焦点距離などといったことは、
ほとんど関係がない。なぜなら、
顔の正面のほとんどに焦点距離があっているはずなのに、
実際に見ているのは、目だけなのである。
実際に見える感覚よりも、意識的な感覚だけが優先していて、
そこだけが見えているのである。
意識されることのない自然な感覚と、
目的・意識的な感覚との違いである。

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