(  市)ルネサンスへ<2015-0605-c陽だまり、



1:予感。


その特徴は、空気のつめたさにある。
そして、このここちよさは、情緒的なもので、
感覚的というよりも心理的なものである。
しかし、もちろん、きっかけとなっているのは、
あたたかいという、感覚の気持ちよさである。

地面も空気も、何もかも冷たいのに、
陽にあたる分部だけが、あたたかいのである。
このような、ちぐはぐな状態、アンバランス。
空気は冷たいのに、陽に当たる分部だけがあたたかく、
なにもかもが、陽の光の方へと向いている。

そんな、張り詰めた、なにか充実していて、
少し緊張するような寒さの中にあって、
あたたかい陽の光に導かれ、そそのかされ、
誘われて、吸い込まれてゆくような感じなのである。

そんな、張り詰めた暖(あたた)かさというのが、
緩んで来て、開き、そして何かを指向し、
求めているように思えてくるのである。
それは、もちろん、春の到来の予感である。
これが、冬の陽だまりの暖かさなのである。

 戻る。                 続く。
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